映像制作者が意識的に使い分ける、「映像」と「動画」の違いについて

こんにちは、大阪で映像制作を営んでいる伊藤です。

今日は、割とどうでもいいのですが、僕個人明確に使い分けている単語、「映像」と「動画」の違いについてお話ししたいと思います。

「映像」と「動画」を使い分けようと、一瞬頭で考えてしまう方の参考になれば幸いです。

「映像」と「動画」は使い分けられている?

まずは大元の話なのですが、実際に現場では「映像」と「動画」という単語は使い分けられているのでしょうか?

結論から言うと、僕のクライアント様含めて、大体の人は「動画」と言っています。

ただし、数年前までは多くの方は「映像」だったのですが、YouTubeが盛り上がってきてから、以前は「映像」と言っていた人も「動画」に切り替わった印象です。

ちなみに僕個人含めて、映像制作に関わっている方々は、作り手側は結構意識的に「映像」と「動画」を使い分けています。ではそれぞれどう違うのか解説したいと思います。

映像=イメージ

映像関係の様々な本を読んでいても、僕が以前から培ってきたイメージと一致するのが「映像」の単語の意味です。

「映像」とは読んで字の如く「像」を「映」すものです。映画やドラマは映像作品ですよね。なので、「映像」とは、作り手のイメージを映し出すような作品のことを指している、ということになります。

これは映画やドラマに限らず、商品のPRでもあるCMやWeb用の動画でも言えることです。

実際の現場に例えてみましょう。金属加工系の企業様が、「我が社の新卒採用説明会で流すための、”格好いい”映像が欲しい」というオーダーをしたとします。このオーダーの中の”格好いい”は、もちろん人によって捉え方が異なります。

油まみれの工場で火花を散らして溶接する姿を”格好いい”と感じる人もいれば、”熱そう”と感じる人もいます。

このオーダーを受けた作り手側、つまり映像制作者は”格好いい”映像を作るために、お客様のヒアリングをしたり、現場の方の声を聞いたりして、映像制作に必要な要素を一度自分の中で咀嚼します。

その後実際に作り手側が”格好いい”と感じたカットを現場で撮っていくわけですね。

このような「イメージを具現化する」過程を経て作ることが、「映像制作」だと認識しています。

動画=他でも説明可能

では「動画」はどういった意味を指すのでしょうか。

結論から言えば、「動画」=他の媒体(テキスト、画像)でも説明可能なもの、という意味になります。

「映像」をそれぞれの漢字の意味で分解して説明した様に、「動画」も同じことをすると「動」く「画」になります。逆に言えば、「画」が動いてるだけなのです。

ここが「映像」との違いです。先ほどお話しした様に「映像」はイメージを具現化した作品ですが、「動画」は作り手のイメージや感じたことは含まれていません。

こちらも例えを出すと、「化粧品の具体的な使い方をYouTubeにアップしたい」というオーダーがあったとします。

そのとき動画を作るのに元となるのは、「化粧品の使い方」であり、これはパッケージや説明書にも書いてありますよね。

テキストや画像でも説明できることを、よりわかりやすく伝えるために「画」を「動」かすので、こういった類のオーダーは「動画制作」になるということです。

二元論ではない

「映像」と「動画」の単語の違いについて説明しましたが、実際にこれは二元論で白黒つける話じゃないです。

ニュアンスが伝わっていればいいのと、あくまでも作り手側の意識という面があるので、「映像」を「動画」と言ったからと言って怒られる、なんてことはありません。

ただ、やはり「映像」と「動画」を作り手側が意識している場合、制作過程が異なってきます。なのであくまでも作り手側は、「映像」を作っているのか「動画」を作っているのか意識しておく必要はあると考えています。