Lumix S1Hを5年感現場で使い倒したレビュー

Panasonicから2019年9月に発売された「Lumix S1H」。

NETFLIX認定カメラでもある名機ですが、僕自身もS1Hを5年間使い倒しているので、現場目線でレビューしていきたいと思います。

数値的な性能はもう腐るほど世に出ているので、実際の使用感メインで語っていきたいと思います。

①現場での使用感

まずは現場での使用感についてです。

記録撮影系の時

イベントの記録撮影、生配信など、所謂「テイク」をするカット数の多い現場では写真のようにS1Hを丸裸で使用しています。

手ぶれ補正機能も優秀で(S5ⅱほどではないですが)、Lumix製のレンズと組み合わせると手持ちでも使えるレベルです。

ただやはり、重いです。バッテリー含めると約1.1kg+レンズなので、長時間手持ちで構えるにはある程度の筋力が必要です。

記録撮影系の業務であれば、正直S1Hほどのスペックを求められることは少ないので、取り回しの観点からS5やS5ⅱに軍配があがります(僕も記録撮影時はS5をメインに使っています)

企画ありきの撮影の時

続いてはいわゆる「メイク」する現場、企業VPやインタビュー映像など、照明機材などで作り込む企画・絵コンテありきの撮影の場合です。

僕はその場合は写真のようにリグをガチガチに組んで撮影を行っています。

後述する動画性能もさることながら、ダイナミックレンジも広いので綺麗な画が撮れます。よりシネマティックな画を求める場合に「S1H」の性能を遺憾無く発揮できます。

こういう「メイク」の現場では、S1Hの重さも気にならずに撮影できるので、シネマカメラの一個手前の存在として活用できます。

バッテリーの持ち

バッテリーは公式のものを使用しているのですが、持ちはよいです。

1日回し続けても、3〜4本あれば足ります

僕は余裕持って一現場あたり5本ほど持っていっています。

電源もカプラー挟んで直接ブッ刺せるので、長回し現場も問題ありません。

②動画・静止画の性能

では現場での使用感をレビューしたところで、次は動画と静止画の性能についてです。

動画性能

動画性能は申し分ないです。企業VPなど明るい系の映像にはもってこいです(逆にトーンを落としてリッチな画作りはBMPCCの方がよい)

フルサイズモードだと6Kも撮れますが、僕は大体フルサイズモードの4Kで撮影しています。

静止画性能

静止画性能に関しては、「Lumixで写真メインにしたい」という方は兄弟機のS1Rの方が良いでしょう。

ただS1Hも有効画素数2400万画素あるので、静止画を撮って使えないこともないです。僕も実際にS1Hでスチルを撮って納品して…という経験はありますが、あくまでもおまけ程度です。

何より他メーカーのスチル機と比べると、AFが若干弱く感じます…(僕はいつもMFなので動画撮影時は問題ないですが)

やはりS1Hは動画がメインの機種なので、スチル業務には少し不安があります。ただプライベートで撮る分には最高。

 

③カラーグレーディング

グレーディングに関しては比べるとしたらBRAWが撮れるBMPCC系列でしょう。

個人的にはBRAWのBMPCCの方がグレーディングは楽しいです。

S1HでもBRAWを撮れるのですが、お高くて重いVideoAssistを別途購入する手間があります。

とは言っても、公称14STOPのダイナミックレンジは流石で、カラーグレーディングしていても発色はとても良いです。

あくまでも所感ですが、BMPCCがシネマ寄りのリッチな色味に対して、S1Hはもう少しカジュアルな彩りになります。(グレーディングの技術次第ですが…)

BMPCC=洋画、S1H=邦画、というイメージです。

④レンズの選択肢

レンズの選択肢としては、「Lマウント」と「EFマウント(アダプター使用)」で考えて良いと思います。SIGMAからMC-21という優秀なアダプターが出ているため、EFマウントレンズでも気にせず使えます。

また、Lマウントレンズもこの数年で豊富なラインナップになっており、S1Hに合うレンズの選択肢は比較的多いです。

ただこれも、「シネマレンズを使いたい!」という場合はEFレンズなどに比べると選択肢はまだ少ないです。(NiSiのシネマレンズあたりがコスパ良いです)

僕はいつも現場では、Lumix系のレンズは記録系の撮影に、SIGMAやNiSiのシネマレンズは企画系の撮影に使っています。

⑤改善してほしい点

S1H自体に改善してほしい点は、現状はないですが、そろそろ後継機がほしいですね…最近はS5系統の焼き直しばかり発売されているので…。

まとめ

今回はS1Hを使い倒したレビューをしてみました。映像制作を始めよう、という方にはもってこいな一台だと思いますが、プライベート使いでは少し荷が重いですね。

まだまだ現場ではメイン機として頑張ってくれていますので、後継機の発売に期待です!